2018年度社会保障費削減の詳細について~財務省資料より~

2018年度の社会保障費に関する財務省と厚生労働省の調整が本格化

2017(平成29)年10月31日の日本経済新聞の一面に、

「診療報酬マイナスに 来年度、薬価大幅下げ 厚労・財務省」

という記事が掲載されました。

その中では、厚生労働省と財務省が2018年度予算編成における調整を本格化しており、薬価を大きく引き下げるとともに、医師人件費と合わせて診療報酬全体を引き下げることが焦点となっている、と報じられています。

近年の社会保障費を巡っては、財務省の要求を厚労省が概ね受け入れ、診療報酬だけでなく介護報酬や障害福祉サービス等報酬に反映する傾向が強まっています。

しかも、2018年度は診療報酬と介護報酬の6年に1度の同時改定に加え、障害福祉サービス等報酬の改定も行われます。また、保育に関する公定価格も毎年見直しが行われており、来年度の予算編成において財務省は、医療から保育までを含む、社会保障費削減のための包括的な道すじを示してきています。

本記事では、財務省財政制度等審議会の資料に記されている、2018年度の社会保障費削減に向けた財務省の方針について解説します。

1.医療における削減の方向性

医療における削減の方向性としては、

(1)高齢化による医療費の伸びである1.2%/年の上回る、2%半ば以上のマイナス改定が必要

(2)診療報酬では7:1病床の入院料適正化、皮膚科・眼科などの診療科にかかる報酬見直し、調剤報酬の見直し、療養病床の入院料適正化が必要

(3)薬価報酬の大幅引き下げ

が挙げられています。

今回が、(1)の「2%半ば以上のマイナス改定」というゴールが既に設定されており、それを達成するための具体的な内容が示されていることが特徴的です。

診療報酬本体では、(2)に挙げられた分野がターゲットとされているほか、(3)の薬価報酬については薬価制度そのもの「抜本改革」まで踏み込んで削減を行うべきとの内容となっています。

2.介護における削減の方向性

介護の分野では、具体的な数値目標はないものの、

(1)訪問介護のうちの「生活援助」について1日の算定上限を設定

(2)高齢者向け住まいに居住する者の在宅サービス利用について、報酬を算定できる回数の上限を設定

(3)通所介護において、機能訓練など自立支援・重度化防止のためのサービスが行われていない場合の基本報酬の減算措置も含めた報酬の適正化

などが挙げられています。

3.障害福祉における削減の方向性

障害福祉においては、近年の給付実績の伸びが著しい

(1)就労支援(就労移行支援、就労継続支援)について、他のサービスとの均衡を図る報酬の適正化や、意向実績が反映される報酬体系への改定

(2)放課後等デイサービスについて、他のサービスとの均衡を図る報酬の適正化や事業者の評価・監督を行うべき

という2つの分野での削減の方向性が示されています。

4.保育における削減の方向性

保育分野においても、保育所の収支状況が一般の中小企業の利益水準を上回るという根拠から

「公費を基に運営されている中で他業種とのアンバランスが生じていないか、公費で負担している範囲は適切か、これまでの保育士の処遇改善加算が適切に人件費に反映されているのか、といった点から検証し、公定価格全体を適正化する必要があるのではないか」

として、公定価格の引き下げの方向性が示されています。

子育て支援策を充実させるために、公定価格の増額が続けられてきた保育分野でのマイナス改定は、各園の経営に大きな影響を与えることが予測されます。

5.今後にどう備えるか

以上で見てきた方向性は、現時点で財務省が示したものですので、全てが実施されるとは限りません。

しかし、消費税引き上げの再延期が取りざたされるなど財政再建をめぐる議論が進まない中で、高齢化に伴って伸び続ける社会保障費にメスが入ることは避けられない状況となっています。

今後も財務省・厚生労働省の社会保障予算をめぐる検討状況を注視するとともに、各医療機関や福祉施設においては、来年度以降の経営計画を検討するに当たってマイナス改定の影響を織り込んだ収支シミュレーションを実施するなどの対策が必要といえます。

▶▶▶ 財務省「財政制度分科会(平成29年10月31日開催)資料一覧」へのリンク