子育て支援の未来を見据えて~社会福祉法人徳栄会(神奈川県平塚市)の紹介~

子育て支援の未来を見据えて

~社会福祉法人徳栄会 もんもん保育園、苗・もんもん保育園、花・もんもん保育園(神奈川県平塚市)~

2015年4月に「子ども・子育て支援新制度」がスタートし、保育や子育て支援の質向上が求められている。

一方で、現場を担う保育士の採用は困難を増しており、各園では保育士の採用や定着が大きな課題となっている。

今回は、民間の無認可園での実績が認められ、1992(平成4)年4月から認可保育園となった後、実績を積み重ねて3園体制となり、さらには今後の子育て支援のあり方や人材育成を見据えた取り組みを進めている、神奈川県平塚市の社会福祉法人徳栄会もんもん保育園、苗・もんもん保育園、花・もんもん保育園を紹介する。

平塚市花水台にあるもんもん保育園
【平塚市花水台にあるもんもん保育園】
平塚駅にほど近い、苗・もんもん保育園および花・もんもん保育園
【平塚駅にほど近い、苗・もんもん保育園および花・もんもん保育園】

ゼロからのスタート。署名を集めて社会福祉法人を設立

当法人が産声を上げたのは1976年であった。設立者である現・理事長の金子玲子さん(当時28歳)は、公立幼稚園での勤務経験を経て、自らの理想とする保育を実践すべく、自宅の1階と離れを利用して、個人立の無認可の保育所を始めた。

保育への愛情と情熱以外には何もない、まさに「ゼロからのスタート」であったという。

近隣の保育園に入れなかった子どもや、地域の保健師さんから紹介された子どもを受け入れていったが、「家庭的な温かい雰囲気が良い」と近隣だけでなく、遠方からの利用もあった。しばらくすると、園長の保育にかける情熱が口コミとして広がり、公立保育園の保育士さんが自分の子供をあえて無認可園である当園に預けるケースも出てきた。

金子理事長が設立以来、一貫してこだわってきたのが、幼稚園の経験を活かした質の高い保育の提供と地域への貢献意欲であった。

また、夜遅くまで仕事により、特に育児が困難な父子家庭への支援を実施するなど、精力的な取り組みを行っていた。

設立時の苦労話として、「家庭での養育困難ケースについて地域の児童相談所に事案の相談をしたことがあったが、『なぜ無認可の園がそのようなケースを取り扱っているのか』と相手にされなかったことがあった。だが、後日、先方からも謝罪され、当園の取り組みの意義を認めてもらえた」と、金子理事長が語る。

当時の常識からすると、当園のように保育・教育や養護にこれほどの情熱を注いでいる無認可園の存在自体が、信じられなかったのかもしれない。

そして、1992(平成4)年4月には署名活動の成果もあり、社会福祉法人化を実現して「もんもん保育園」を現在の地に開設することになる。当保育園は神奈川県内で初のモデル夜間保育園でもあり、定員は30名であった。

2002(平成14)年には、乳児夜間保育所として「苗もんもん保育園」を平塚駅前に開設する。その後、2008(平成20)年には場所を移転した上で、昼間の「花もんもん保育園」を併設して現在の3園体制を確立した。

また、この間の2000(平成12)年には「なでしこ児童クラブ」、2009(平成21)年には「はなみず児童クラブ」、2017(平成29)年には「すみれ児童クラブ」と3つの児童クラブも開設している。

質の高い保育の提供と地域との連携

当法人の運営の特徴は、質の高い保育の提供と透明性のある法人運営により、保護者のみならず地域の関係者からも信頼を確立していることにある。

「自分のことが好きなこども」、「生き抜く力の基礎を持てるこども」を保育目標の核に掲げて、一人ひとりの子どもに寄り添う保育を徹底している。

また、近年ではプロジェクトアプローチの考え方を取り入れた「わくわくドキドキプロジェクト」に取り組み、各年齢別のクラス単位で、子どもが興味を持った事柄をきっかけとして子どもが主体となった遊びや学習を深め、好奇心を伸ばす保育を実践している。

そして、五感や社会性、体力を育むことをねらいとした充実した園外活動は、子どもたちの日々の元気の源となっている。また、食べることが大好きな子どもたちの食育では、管理栄養士のもとで指導される手作りおやつの食材の栽培からクッキングまでの一貫性を考慮して行っている。

徳栄会・クッキングの様子
【クッキングの様子・「自分で食べるものを作るのは楽しいネ!」】
徳栄会・里山遠足の様子
【里山遠足の様子・焼き芋に落ち葉滑り、日頃体験できないこと、思いっきり体験する。「けむりは目にしみるんだね」】
徳江会・運動会の様子
【職員も参加する運動会の様子・毎年6月に開催する運動会、保護者の参加も多く、親子みんなで参加する運動会となっている】
徳栄会・卒園式の様子
【卒園式の様子・毎年、子ども達が大粒の涙を流す】

 

保護者からは「期待以上のものを提供してもらっている」といった意見や、「本当にこの園に通わせてもらって良かった」という感謝の声が寄せられている。

また、地域の小児科医とも連携を深めて健康管理や感染症予防で適切な対応を図ったり、近隣の高校と災害対応で協力体制を築くことにつなげている。

徳栄会・近隣の高校へ津波地震避難訓練の様子
【近隣の高校へ津波地震避難訓練の様子】

保育人材難の中で、人材育成への取り組みを本格化

これまでに見たように、順調に成長を続けてきた徳栄会においても、近年の保育人材難の状況を受けて、保育士の採用・定着が大きな課題となっている。

採用面では、採用実績のある短大を中心に実習生の募集に従来以上に注力しており、県外の教育機関からの採用も増えている。また、出産を期に一度退職した職員が、非常勤職員として復帰して活躍することも増えてきている。

定着面では、人間関係を大切にした保育現場の中で、働きやすさの実現とキャリアアップを促す取組みを本格化させている。

休暇を取りやすくするための長期休暇制度の導入や、職員同士が互いを認め合う職員表彰制度の実施、職員間の交流・レクリエーションの充実(劇団四季の観劇や食事会)などを行って、職員の働きやすさや職場風土の向上に役立てている。

また、キャリアパスの作成や計画的な研修実施など、職員がキャリアアップを目指せる環境作りにもいち早く取り組み、職員一人ひとりの希望や意向を聴取しながら、処遇や教育機会の充実に反映させている。

新たに採用した職員が園に馴染めることができるよう、法人では「その人に合わせた成長のペース」を大事にしており、新人職員の感想として「先輩が相談しやすい雰囲気をつくってくれて温かい言葉がけをしてくれるので心強く、同期と互いに助け合って、刺激しあって楽しく保育しています」と述べられている。

花・もんもん保育園の松古園長は、求める人材像として、

・アットホームな雰囲気の職場で働きたい人

・仕事と休暇にメリハリをつけて働きたい人

・園外保育や職員行事などを楽しみたい人

・子どもと一緒に「わくわくドキドキ」楽しみながら保育をしたい人

・焦らずに、じっくりと成長していきたい人

・心身ともに健康な人

を挙げており、一人でも多くの学生や就職活動をしている保育士の方に興味を持って欲しいと語っている。

徳栄会・職員レクリエーションの様子
【職員レクリエーションの様子】

将来ビジョンについての検討を重ねて、新たな保育園像を目指す

今日、子育て支援をめぐる大きな環境変化の中で、保育園に求められる役割も大きくなっている。当法人では、そうした変化に対応しながら、新たな保育園を目指して行くための将来ビジョンについて検討を重ねている。

その中では、妊娠・出産・育児という流れの中で一貫した支援を行う「子育て支援包括支援事業」について、法人がどのような役割を果たすべきかを議論するとともに、同事業のモデルとなったフィンランドのネウボラの視察を行っている。

また、医療ケアの必要な子どもも受け入れや障がい児の療育を行うことができるよう、園の建替えや人材の確保など、体制作りを検討している。

このように保育園に求められるもレベルが高くなる中でも、金子理事長は「残された人生の全てをかけて、地域の方々や沢山の人たちの力をお借りして、この地域の人々と共に生きていくために可能な限り地域に貢献していきたい」と語っている。

福祉への情熱、子どもたちへの深い愛情と地域に対する貢献意欲が、社会福祉法人の存在意義であることを再確認させられる社会福祉法人徳栄会の今後に注目していきたい。

徳栄会理事長の金子玲子氏
【理事長の金子玲子氏】

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