平成30年障害福祉サービス報酬改定の主要論点について

平成30年からの障害福祉サービス報酬改定に関する議論が進んでいます。

平成29年11月22日に開催された社会保障審議会障害者部会において、改定における主要な論点が提示されましたので、以下で整理します。

なお、資料については以下のサイトからご覧いただけます。

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紹介する主要論点一覧

1.重度対応型グループホームの新設について

2.共同生活援助における個人単位での居宅介護等の利用の特例について

3.機能強化型地域移行支援サービス費の新設について

4.自立訓練の対象者の見直し及び計画の評価について

5.医療的ケア児への支援に対する評価の必要性について

6.障害児通所支援(児童発達支援、放課後等デイサービス)の質の向上と適切な評価について

7.生活介護における常勤看護職員配置と開所時間減算について

8.就労系サービスについて

9.計画相談支援・障害児相談支援について

10.≪新サービス≫ 就労定着支援の報酬・基準について

11.≪新サービス≫ 自立生活援助の報酬・基準について

12.≪新サービス≫ 居宅訪問型児童発達支援の報酬・基準について

1.重度対応型グループホームの新設について

〇 住まいの場であるグループホームの特性(生活単位であるユニットの定員等)は従来どおり維持しつつ、スケールメリットを生かした重度障害者への支援を可能とするため、1つの建物への入居を20人(10人+10人)まで認めた共同生活援助サービス費の新たな類型として、「重度対応型共同生活援助サービス費」を設けてはどうか。

〇  地域における重度障害者の緊急一時的な宿泊の場を提供するため、短期入所の併設を必置としてはどうか。

〇  世話人の配置を現行(6:1~4:1)よりも手厚く(例えば3:1)としてはどうか。また、常勤の看護職員を配置する体制等を評価してはどうか。

2.共同生活援助における個人単位での居宅介護等の利用の特例について

〇  個人単位での居宅介護等の利用の特例については、現時点においても必要性が高く、平成30年度に新設される重度対応型グループホームの施行状況等を見ながら検討する必要があるため、当該特例を平成33年3月31日まで延長することとしてはどうか。

〇  重度対応型グループホームについても、より濃密な介護等を要する時間帯があるケースも想定されるため、既存のGHと同様に、当該特例の対象とすることとしてはどうか。

3.機能強化型地域移行支援サービス費の新設について

〇 地域移行を促進するためには、移行実績がある地域移行支援事業者の取り組みを活性化する必要があるため、地域移行実績や専門職の配置、施設・病院等との日常的な連携を評価した「機能強化型地域移行支援サービス費」(仮称)を新設してはどうか

4.自立訓練の対象者の見直し及び計画の評価について

〇 訓練の対象者を限定している施行規則を改正し、機能訓練・生活訓練ともに障害の区別なく利用可能としてはどうか。

〇  対象者の見直しに合わせ、視覚障害者に対する歩行訓練等を生活訓練としても実施出来るよう、必要な見直しを行ってはどうか。

〇 生活訓練における利用者の障害特性等に応じた計画的な訓練を評価するため、新たな加算を新設してはどうか。

5.医療的ケア児への支援に対する評価の必要性について

通所)

〇  単なる人員配置に対する評価とならないようにするため、医療的ケアの必要性に関する簡素な基準(※)を設け、基準に該当する児を受け入れている事業所が看護職員を配置した場合に加算することとしてはどうか。

※簡素な基準:レスピレーター管理、気管内挿管、気管切開、鼻咽頭エアウェイなどの状態が6か月以上続く

〇 さらに、基準に該当する児の数に応じて加算を上乗せしてはどうか。

入所)

〇 現行の報酬体系との整合性に留意しつつ、現行の看護職員を1名以上配置した場合の加算を、通所支援同様の基準に該当する障害児受け入れている施設が看護職員を2名以上配置した場合に更なる評価を行うこととしてはどうか。

6.障害児通所支援(児童発達支援、放課後等デイサービス)の質の向上と適切な評価について

〇 放課後等デイサービスについては、人員配置体制や利用者の状態といった指標に基づき、基本報酬を区分することを検討してはどうか。

〇 放課後等デイサービスを授業終了後に提供する場合においては、支援時間を適切に評価するため、基本報酬を時間単価にすることを検討してはどうか。

〇 児童発達支援についても、主に未就学児を支援する場合、学齢期児を支援する場合に応じ、基本報酬を区分することを検討してはどうか。

〇 強度行動障害の状態にある障害児を支援した場合の評価を検討してはどうか。

〇 指導員加配加算等について、経営実態調査を分析の上、実態に見合った適切な単価に見直すこととしてはどうか。

現行の算定例:指導員183単位/日×22日(営業日数)×10人(利用人数)×10円=402,600円/月

〇 一方、手厚い人員配置を評価する観点から、指導員加配加算の算定できる人数を見直すこととしてはどうか。

〇 児童発達支援センターや主として重症心身障害児を通わせる事業所についても、人員配置基準以上に職員を配置した場合の評価を検討することとしてはどうか。

〇 特別支援加算についても、経営実態調査を分析の上、実態に見合った適切な単価に見直すこととするほか、視覚障害への支援の充実のため歩行訓練士などを算定要件に追加することとしてはどうか。

7.生活介護における常勤看護職員配置と開所時間減算について

(1)常勤看護職員等配置加算の拡充について

〇 常勤看護職員等配置加算について、生活介護における人員配置にかかる費用の実態等を踏まえつつ、医療的ケアが必要な障害者を一定以上受け入れる場合、新たに配置基準2人以上の区分を設けてはどうか。

(2)開所時間減算の取扱いについて

〇 極端な開所時間の実態を踏まえ、現行の当該減算の減算幅を見直すことにしてはどうか。

〇 具体的には、開所時間4時間未満については、基本単位数の50%を算定(現行は70%)、
開所時間4時間以上6時間未満については、基本単位数の70%を算定することにしてはどうか(現行は85%)。
また、利用時間が5時間未満(送迎のみを行う時間は含まない)の利用者が事業所の全利用者の一定以上の場合、基本単位数の70%を算定することにしてはどうか。

8.就労系サービスについて

(1)就労系サービス共通事項

① 就労継続支援A型・B型における就労移行支援体制加算の見直し

〇 就労継続支援A型・B型においても知識や能力が向上し、一般就労へ移行する者もいることから、利用者が一般就労して基本報酬が減る分を補填できるように、現行の就労移行支援体制加算の評価を見直してはどうか。

② 就労移行支援・就労継続支援A型の年齢制限の撤廃

〇 労働力人口の減少等に対処するため、生涯現役社会の実現の観点から、雇用者数、求職者が増加傾向にある65歳以上の高年齢者の雇用が一層推進されるよう雇用保険の適用が拡大(平成29年1月1日施行)されたことも踏まえ、65歳未満とする年齢制限がある就労移行支援及び就労継続支援A型について、年齢制限を撤廃することをどう考えるか。

③ 在宅利用時の生活支援サービスの評価

〇 就労系サービスについては在宅での利用を認めている(平成24年度から就労継続支援、平成27年度から就労移行支援)が、就労系サービスを利用する時間に、同時に生活支援サービスを利用することができない(併給調整)ために、在宅利用が促進されない可能性があることから、在宅利用を促進するための加算を設けてはどうか。

〇 重度障害の在宅利用者のいる就労系サービス事業所において、在宅利用者が生活支援サービスを私費で利用し、事業所がその費用を負担した場合に、事業所の負担を一定程度軽減するため、生活支援サービス利用に応じた加算を設けてはどうか。

(2)就労移行支援の基本報酬と福祉専門職員配置等加算の評価の見直し

① 基本報酬における実績の評価

〇 一般就労への移行実績だけでなく、利用者の意向及び適性に応じた一般就労への移行を推進するため、就職後6か月以上定着したことをもって実績として評価し、メリハリの効いた報酬設定としてはどうか。また、一般就労への移行実績が過去2年間にない場合における減算を強化してはどうか。

〇 実績とする一般就労の範囲について、以下のような要件を課すことを検討してはどうか。
 ① 就労継続支援A型事業所への就職ではないこと
 ② 週20時間以上の労働時間に基づく雇用契約であること等

② 福祉専門職員配置等加算の評価の見直し

〇 精神障害者の利用が5割を超えている就労移行支援事業所では、作業療法士を配置している事業所においては、配置していない事業所に比べて、一般就労への移行等を多く出している実態も踏まえ、新たに加算で評価してはどうか。

〇 福祉専門職員配置等加算において、資格保有者としては社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士となっているが、就労移行支援においては、資格保有者として新たに作業療法士を加えて評価してはどうか。

(3)就労継続支援A型の基本報酬と賃金向上のための指導員を配置した場合の評価

① 基本報酬における実績の評価

〇 平均賃金、平均労働時間、その他活動実績に応じたメリハリの効いた報酬を設定してはどうか。その際、高実績をあげるのが難しい利用者への配慮を設けてはどうか。

〇 また、最低賃金減額特例を適用している利用者が一定割合以上いる場合、新たな減算を設けてはどうか。

② 賃金向上のための指導員を配置した場合の評価

〇  生産活動収入の向上に資する販路の拡大、付加価値のある商品の開発などが就労継続支援A型には求められることから、就労継続支援B型に適用されている目標工賃達成指導員配置加算を参考に、賃金向上のための指導員を配置した場合の評価を考えてはどうか。

(3)就労継続支援B型の基本報酬について

〇 平均工賃、その他活動実績に応じたメリハリの効いた報酬を設定してはどうか。その際、高実績をあげるのが難しい利用者への配慮を設けてはどうか。

〇 平均工賃に応じたメリハリのある報酬設定とすることから、目標工賃達成加算等を見直してはどうか。

〇 十分な生産活動ができない重度の利用者等については、平均工賃算出の利用者から除外することを検討してはどうか。

9.計画相談支援・障害児相談支援について

(1)相談支援専門員1人あたりの担当件数の設定について

〇 計画相談支援・障害児相談支援の質のサービスの標準化を図る観点から、指定基準において、1人の相談支援専門員が1月に実施するサービス利用支援等の標準件数を設定してはどうか。

〇 1人の相談支援専門員が1月に標準件数を上回る一定件数以上の継続サービス利用支援等を行った場合、一定件数以上分の継続サービス利用支援等の基本報酬の減算や特定事業所加算の対象外としてはどうか。

(2)基本報酬の見直しについて

〇 サービス利用支援費については、初回時と更新時の業務負担の差を考慮し、初回時について加算により適切に評価することを前提に、基本報酬については一定程度引き下げてはどうか

〇 継続サービス利用支援費については、モニタリング標準期間の一部見直しを踏まえ、質の高い事業者をケアマネジメントの業務負担量に応じて加算により適切に評価することを前提に、基本報酬については一定程度引き下げてはどうか。

〇 施設入所支援利用者に対する計画相談支援については、在宅利用者に比べてケアマネジメントにかかる負担が少ないことから、基本報酬を一定程度引き下げてはどうか。

〇 障害児相談支援については、既に初回時と更新時で報酬水準が異なっていることも考慮し、障害児相談支援がモニタリング標準期間の見直し対象とならない場合には、基本報酬の骨格は現行を維持することとしてはどうか。

(3)特定事業所加算の段階制の導入について

〇 特定相談支援事業者等における相談支援専門員の複数配置の促進と主任相談支援専門員(仮称)の配置を考慮した特定事業所加算のあり方についてどう考えるか。

〇 より充実した支援体制および主任相談支援専門員の配置を要件とした特定事業所加算の類型を追加してはどうか。

〇 また、現行の特定事業所加算の加算取得率が低調なことを踏まえ、事業者が段階的な体制整備を図れるよう、現行の要件を緩和した特定事業所加算の類型を一定期間に限り設けることとしてはどうか。

10.≪新サービス≫ 就労定着支援の報酬・基準について

(1)サービスの概要

生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を利用して一般就労した障害者一般就労へ移行した障害者について、就労に伴う生活面の課題に対し、就労の継続を図るために企業・自宅等への訪問や障害者の来所により必要な連絡調整や指導・助言等を行うサービスとして、3年間の利用期間を定めてサービス提供をする。

(2)事業所の指定要件・支援内容

〇 過去3年において毎年1人以上又は平均1人以上、障害者を一般就労に移行させている指定事業所(就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓練事業所)としてはどうか。

〇 就労定着支援事業者は、利用者に対して就労定着支援を提供する場合、一月に1回以上、利用者との対面により行うとともに、一月に1回以上、障害者を雇用した事業所への訪問等により利用者の職場での状況を把握するよう努めなければならないこととしてはどうか。

(3)基本報酬・加算

〇 支援期間(最大3年間)の就労定着率(就労定着者数÷過去3年の利用者数)に応じたメリハリのある基本報酬を設定してはどうか。

〇 離職から1か月以内に他の企業への就職が決まった場合は、就労が定着しているものとみなしてはどうか。(支援期間は、最初の利用から最大3年間とし、1回の転職に限る。)

〇 利用期間経過後も、障害者の希望に応じて障害者就業・生活支援センター等と協同して支援を行うことを促すため、利用期間終了後の定着実績に応じた加算を設けてはどうか。

〇 加算の期間は利用終了後3年間とし、現行の評価基準よりも厳しい水準を求めた上で評価する仕組みとしてはどうか。

(4)サービス従事者の要件、設備基準、定員

〇 就労定着支援に配置する人員について、資格要件を定めないこととしてはどうか

〇 また、職員配置は複数の職員が柔軟に利用者にかかわることができるようにするとともに、就労移行支援事業所等の従業員が引き続き支援することができるようにするため、常勤換算方法で配置することとしてはどうか。

〇 その際、利用者数が少ない場合でも参入できるように、常勤換算方法1未満での配置も可能とすることを検討してはどうか。

〇 就労定着支援の提供主体は、生活介護、自立訓練、就労移行支援及び就労継続支援を運営している指定事業者が設置主体となり、相談室は設けられていることから、特段の設備基準は設けないこととしてはどうか。

〇 就労系障害福祉サービス等は運営規程に利用定員を定めることになっているが、就労定着支援は相談、指導、助言等を行うサービスであり、実績のある事業所による職場定着支援を一層促進する観点からも、利用定員は定めないこととしてはどうか

11.≪新サービス≫ 自立生活援助の報酬・基準について

(1)サービスの概要

障害者支援施設やグループホーム等から一人暮らしへの移行を希望する知的障害者や精神障害者などについて、本人の意思を尊重した地域生活を支援するため、一定の期間(1年間)にわたり、定期的な巡回訪問や随時の対応により、障害者の理解力、生活力等を補う観点から、適時のタイミングで適切な支援を行うサービス。

(2)随時対応のための体制と職員配置

〇 利用者からの相談内容に対し随時の対応を行う職員には、直ちに利用者の状態を把握し、電話等での相談対応を行うほか、適時適切なサービスへの依頼・報告により、課題の解決を図ることが求められる。

〇 自立生活援助の職員には、国家資格等の資格要件は課さないが、利用者の状態を適切に把握する者が担当しつつ、例えば、医療ニーズ等を有する場合にはかかりつけ医や看護師からの助言が得られるような体制を確保する等、適時適切なサービスを速やかに提供できる常時の連絡体制を確保すべきではないか。

〇 人材の安定的確保及び既存の障害福祉サービスの有効活用の観点から、自立生活援助事業所の職員が、他の障害福祉サービスとの兼務について柔軟に対応できる仕組みとするべきではないか

〇 サービス管理責任者の配置については、事業所に利用者が不在となる場合があることを想定しているグループホームのサービス管理責任者と同じ基準としてはどうか。

(3)基本報酬・加算

〇 自立生活援助の基本報酬は、地域移行支援や地域定着支援と同様、一月あたり定額(包括報酬)としてはどうか。

〇 障害者支援施設等から一人暮らしへの移行を促進するため、これから移行する者と既に地域生活している者ごとに基本報酬を設定してはどうか。また、他の標準利用期間が設定されているサービスを参考に報酬の減算についても検討してはどうか。

〇 また、社会福祉士・精神保健福祉士による良質な支援体制や、アセスメント等に時間を要する利用開始月の支援、医療機関や行政機関に同行して行う支援等について評価するかどうか。

12.≪新サービス≫ 居宅訪問型児童発達支援の報酬・基準について

(1)サービスの概要

重度の障害等の状態にある障害児であって、障害児通所支援を利用するために外出することが著しく困難な障害児
に発達支援が提供できるよう、障害児の居宅を訪問して、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与及び生活能力の向上のために必要な訓練の実施などの発達支援を行うサービス。

(2)サービス対象者と支援内容

〇 単なる見守りなど障害児本人の状態以外の理由による利用は適当でないことから、障害児相談支援事業所における障害児支援利用援助等の利用を必須とすべきではないか。

〇 児童発達支援や放課後等デイサービスと同様に、障害特性に応じた障害児の成長を促すための個別支援を行うとともに、将来的に障害児通所支援の集団生活に移行していくために必要な支援、それらに付随する家族支援(相談援助)を行うこととしてはどうか。

(3)職員配置と基本報酬・加算

〇 重度の障害児を支援することが想定されていることから、有資格者であり、かつ、障害児に対する直接支援の経験が一定程度ある者を訪問支援員として配置すべきではないか

〇 居宅訪問型児童発達支援の基本報酬は、訪問先において発達支援を提供する保育所等訪問支援を参考としてはどうか。

〇 また、専門性の高い人員配置を評価するため、保育所等訪問支援同様、訪問支援員特別加算を設けてはどうか。

〇 通所施設への移行支援(引継業務等)を評価することを検討してはどうか。

以上、ご参考ください。